芦沢央「火のないところに煙は」感想
今回は2019年の本屋大賞にノミネートされた芦沢央さんの「火のないところに煙は」の感想です。
この本を読もうと思ったきっかけは、一人の利用者さんの言葉でした。
私の勤務している図書館では毎年本屋大賞の特集を組むのですが、こちらの本もノミネート作品としてカウンターに展示をしていたんです。
特集を組むとやはり利用者さんの目につくので借りられていくのですが、この本を借りていった利用者さんが後日別の本を借りに来たんです。
そこで彼女が、「前借りた本、先を読むのが怖くなっちゃって(笑)安心できる本も借りに来ました。」と。
もう俄然どんな本か気になってしまって。
実際に読んでみると、その怖さは想像以上でした。
*>あらすじ<*
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
新潮社HPより
*>感想<*
読み終わって本当に素で「こっっっっわ…………」と言ってしまうぐらい怖かったです。
こちらの本は週刊新潮に掲載していた短編5話と書き下ろしの最終話からなるのですが、1話1話の怖さはそうでもないんです。
ただ、この5話を読んでから最終話を読むと一見バラバラの怪談かに見えたそれぞれの話が繋がって「そんなバカな……」という驚きと怖さが押し寄せます。
しかし「残穢」を読んでしまった時よりも「とんでもない本を読んでしまった」感は強かったです。
実話だったらどうしようと震えましたが、インタビューで実話ではないと公言されていて少しほっとしました。
(そうするとやはり「残穢」のほうが怖い……?)
この恐怖はこの本を読んだ人以外には伝わらないと思います。
"そうでもない"とは言いましたが1話1話の怪談も読みやすくきっちりと完結しており、それがまたどれも後味がそれなりに悪いのが後引く怖さを演出しています。
プロモーションムービーも良い感じに怖いです。
これからの季節、 怪談で涼しくなりたい方にいかがでしょうか。
最後まで読み終わった方、ぜひ裏表紙をじっくりご覧くださいね。
ぜひ、ご一読を。
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アイキャッチ:Jasmin SesslerによるPixabayからの画像