【読了記録】道尾秀介「N」感想 ※ネタバレなし
重版が続いている大人気作、大好きな道尾秀介さんの新作「N」を読みました！！
小説として新しい試みをされていて、自分で物語を組み立てていくような楽しさがある作品でした。
今回は最新作なのでネタバレは無しとなっております。
この感想を読んで興味を持たれた方はぜひご自身のお手にとって、ご自身の選んだ結末を目にしていただければと思います。
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*>あらすじ<*
全六章。読む順番で、世界が変わる。
あなた自身がつくる７２０通りの物語。すべての始まりは何だったのか。
結末はいったいどこにあるのか。「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。
「死んでくれない？」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。
定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。
殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。
ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。
殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える。
全6章からなる短編集で、それぞれの登場人物・背景・キーワードなどが共有されており、それぞれのストーリーが繋がっていくというものです。
こういった連作の短編集は道尾さんはよく書かれていて、「光媒の花」とか「鬼の跫音」とか私が好きな作品も多いです。
そんな短編集の才能冴え渡る道尾さんの最新作「N」は小説の概念を覆す新たな試みが読者を惹き付けるものとなっています！
全6章の短編の各タイトルはこちらです。
- 名のない毒液と花
- 落ちない魔球と鳥
- 笑わない少女の死
- 飛べない雄蜂の嘘
- 消えない硝子の星
- 眠らない刑事と犬
タイトルになんとなく規則性があるのですが、一応すべて世界観は繋がっております。
しかし時系列や場所が異なっているので、同じ登場人物でも幼少時代の話だったり、引っ越して海外に住んでいる場面だったりします。
そして驚くことに、この短編……どんな順番で読んでもいいんです。むしろ、読む順番を決めるのは読者に委ねられています。
その熱意たるや順番に読めないよう1章ごとに天と地が逆さまに装丁されているほどです。
さらにすごいことに、どんな順番で読んでも話が繋がっちゃうんです。
むしろ、読む人によって結末だったり登場人物の感じ方だったりが変わるので、みんなが同じ読後感を味わうことができないんです。
だから「結末はこうです！ネタバレはこんな感じ！」というふうに簡単に説明ができないのがこの本の魅力だったりします。
お友達や家族と回し読みをして、それぞれ読んだ順番と感想を言い合うのも楽しいかもしれませんね。
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*>感想<*
ネタバレをせずに感想を書くのはすごく難しいのですが、道尾さんならではの胸がぐっと締め付けられるような読後感は健在です。
一つ一つの短編はそれぞれ面白いのですが、読む順番によって登場人物の印象だったり結末の捉え方が全然違うのが面白いですね！
例えば、ある章で傍若無人でちょっと嫌味な登場人物がいたとして、その後に読んだ章でその人物の過去が明かされて「なんだ、意外と良いやつなんじゃん！」と考えが変わることがありますよね。
でも、読む人によってはその人物の過去の章を先に読むわけだから、そのあとに別の章で嫌味な感じで再登場しても「あんなことがあったからこんな態度なんだ！」という具合に登場人物の見方が変わってきます。
時系列ばらばらで読むことになるので、時系列が後のを先に読んでからその前にあたる章を読むとその登場人物が未来にどんな出来事に遭うのか分かっているので、「この章ではハッピーエンドだけどこのあとあの章で……」みたいに切ない気持ちになることもあります。
何度も言いますが、読む人によって読む順番がバラバラなのでそれぞれの章、そして結末の感じ方がみんな違うのがこの本の醍醐味なんです！
私はだいぶ切ない結末になりましたが、皆さんはどんな結末を迎えるのでしょうか？
ぜひ、ご一読を。
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