【読了記録】長江俊和「出版禁止 死刑囚の歌」感想
新型コロナウイルス感染拡大の影響で図書館が制限付き開館になってから早3ヶ月。
本来ならばテスト期間に差し掛かり、レポート課題に向けて図書の貸し出しが増えていく時期なのですが、今季はオンライン授業なのでそれもありません。
大学によっては秋学期もオンライン授業を決定したところもあるようですね。
大学生活を楽しみにしている学生さんを思うとなんともいたたまれない気持ちです。
さて、今回読んだのは長江俊和さんの「出版禁止 死刑囚の歌」です。
なんとなく手にとったこちらの本ですが、こちらは「出版禁止」シリーズの2作目のようですね。
他にも「掲載禁止」「放送禁止」など"禁止"とタイトルにつくものを多く書かれています。
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*>あらすじ<*
幼児ふたりを殺した罪で、確定死刑囚となった男。鬼畜とよばれたその男、望月は、法廷でも反省の弁をひとことも口にしなかった。幼い姉弟は死ぬべき存在だった、とも――。本書の「編纂者」はこう書いている。「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」。あなたには真実が、見えましたか?
新潮社HPより
*>感想<*
フェイク・ドキュメンタリー風の構成で、雑誌に投稿された記事やブログの記事、編纂者のコメントなどからなりたっている今作。
長江俊和さんのファンの方ならおなじみの構成だったかもしれませんが、私は恥ずかしながら初めて手にした身でしたので、第一章の雑誌投稿されたルポルタージュの文を読んで「あれ?これ小説だよね……??」と思ってしまいました(笑)
投稿されている雑誌もフィクションですが、「図書館員なのに雑誌全部聞いたこと無い!」と思いついCiNii Booksで調べてしまいました。
そんなわけでとても真実味のある書き方で、被害者に同情したり加害者に憤りを覚えたりと本当の事件を追っているような感覚になりました。
パズルのピースの散りばめ方がとても美しく、アッというどんでん返しというよりは、ゆっくり着実に真実に近づいている感じがぞくぞくしました。
私は和歌がとても好きなので、今回はキーワードが和歌に隠されているというのがとてもおもしろかったです。
先を読むと答えがわかってしまうので、6首の和歌とにらめっこして自分なりにメッセージを探してみたりしました。
というか、こちらを読んだ方は皆さん一度はトライしたのではないでしょうか?
特に最後のメッセージは本の中に完全な答えはないので、自分で一生懸命読み解かれた方も多いのではないでしょうか。
私もそこそこ頑張りましたが、答え合わせはインターネットに頼ってしまいました。
正答率8割といったところですw
事件の真相についてですが、登場人物の名前や特徴・細かい言い回しなどに気をつけて読めば辿りつくのはそんなに難しくないように思いました。
私も各章に違和感を覚える言い回しは感じていましたし、真相で「あー、やっぱりか!」とすっきりしました。
すっっっごくネタバレを書きたい気持ちになったのですが、当記事ではあえてやめておきます。
驚きというよりも、モヤがゆっくり晴れていくように真実にたどり着き、最後に感じるのは切なさ。
編纂者の言葉で、「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」という言葉ありましたが、悪魔は本当にいたのでしょうか。
それぞれの登場人物の真意を知り、望月死刑囚が和歌に隠した真のメッセージを読んだとき、あなたはそこに悪魔を見出すのでしょうか。
ぜひ、ご一読を。
Markéta MachováによるPixabayからの画像
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