今回は日々増え続けるSCP記事の中でも特に難解だと言われているSCP-001についてご説明したいと思います。
私自身もSCP初心者なのであまりうまくは解説できないのですが、SCP-001は他のSCPとは違った壮大な世界観が楽しめるのでSCP記事に慣れてきた方はぜひチャレンジしていただければと思います。
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*>陥りがちなSCP-001のワナ<*
SCPにちょっとハマってきた方が「SCPって面白い!001から順番に読んでみよう!」と思い軽い気持ちでSCP-001を開くと「最高機密」の文字、長いスクロール、なんだかヤバそうな画像、大量の記事にビビって挫折してしまう……というのは多くのSCP初心者の方が経験してきたと思います。
SCP財団公式初心者向けガイド「SCP財団の歩き方」にも下記のように書かれています。
一つ覚えておいてほしいのが、「SCP-001を最初に読まないほうがいい」ということです。
ナンバーが若いから最初に読もうとして、あまりの難解さにSCPを読むのをやめたという人は意外と多いと聞きます。読めばわかりますが、001の記事は複数あります。詳細な説明は省きますが、001に当たる記事は「他の全ての怪異の元凶」や「財団の隠された起源」についての記事であることが多く、小説で言えば最終章みたいなものです。
なので、SCP-001を読むのは他のSCPをある程度読破してからにしましょう。
引用:「SCP財団」の歩き方
ということで、SCP-001はラスボス・エンドコンテンツなどとも称されるSCP上級者向けの記事になります。
確かにSCPは若いナンバリングの記事の方が短く分かりやすい記事が多いのですが、SCP-001だけは別格と覚えておきましょう。
*>ぶっちゃけSCP-001とは<*
SCP-001の記事内には現在36の提言が掲載されています。
そのどれもがSCP-001なのですが、どれが本当のSCP-001なのかは分からないという設定になっています。SCP-001は世界の根幹、財団の根幹に関わる最高機密であるがゆえに大量のダミーの記事を用意しているのです。
つまり、今なお増え続けるこれらの提言は本当かもしれないし、虚偽の記事でもあるかもしれないというなのです。
メタ的に言うと、SCP-001という特別なナンバーを誰でも書いても良いんだよ、という位置づけになっているんです。
SCP-001は財団の根幹だったり人類の歴史だったり人類滅亡シナリオだったりととにかく壮大なものばかりで、SCP執筆者なら誰もが書いてみたいと思っています。
皆で作り上げる財団世界だからこそ、SCP-001というナンバーを誰かが独占しないようにこのような設定になっているわけです。
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*>各提言についてざっくり紹介<*
さて、この項では現在36あるSCP-001の提言のうち日本語訳のある30の記事を簡単に解説したいと思います。
各記事の盛大なネタバレ、メタ的なことを書きますのでご注意くださいね。
できればぜひ一度元記事に目を通していただければと思います。
コードネーム: ジョナサン・ボール - 論文の束(Keter)
未発見のSCPについて書かれた報告書で、読むたびに新たなSCPが発見される論文となっています。
未来予知系の便利グッズかと思いきや、この論文のせいで新たなSCPが生み出されているのでは?と様々な解釈ができる提言です。
コードネーム: ギアーズ博士 - プロトタイプ
人型の怪物系アノマリーについての報告書ですが、報告書の形態が古いということから財団の前身の組織が収容したということが読み取れます。
財団の前からいる、財団として最初のアノマリーなので001のナンバリングがついているということです。
コードネーム: クレフ博士 - ゲートガーディアン(Euclid/Keter)
燃え盛る4枚の羽をもつ人型実体で彼に晒された人の頭に命令することが可能です。彼が財団の創始者に「備えよ」と命令し現在の財団ができました。
SCPの中でも人気のカイン・アベルとともに旧約聖書に絡んだ壮大な内容です。
コードネーム: qntm - ザ・ロック(Safe)
鍵穴のついた装飾のある石です。鍵穴どうにかして開けようととある博士が頑張っているのですが、実は財団世界を取り巻く、宇宙自体が外世界のプロトコルによって収容されておりこのカギはその収容室のカギであると言われています。
カギが開かれたら財団世界はどうなってしまうのでしょうか。
コードネーム: ブライト - ファクトリー
とあるO5の口述によって記された提言です。SCP-001は後にSCPや数々の凶悪なアノマリーを作り出した工場と言われています。この工場は悪魔が設立しており、一度は「妖精」と呼ばれる存在に敗北し財団は壊滅してしまいますが、この悪魔に生贄を捧げる契約を結ぶことで時を遡り戦争に勝利します。
コードネーム: マン博士 - 螺旋の小道(Embla)
螺旋状の砂利道で、この異常性は時計回りだと下り、反時計回りだと上りになるというもののみです。しかしこの小道を歩いた一人の天才がこの異常性に気づいたことをきっかけにアノマリーを作り出すことに没頭。
はじめは有用なものを作り出したのですがどんどんヤバイものを作り……、というSCPは一部を除き財団によって作られたとされる提言です。
コードネーム: マッケンジー博士 - 遺産(Euclid)
別世界の住人が世界を崩壊させてしまい、財団世界になんとか送り込んだオブジェクトとその管理者の日記です。
日記の最後に財団世界の崩壊を食い止める方法が記されているらしいのですが、残念なことにそのページは紛失してしまっているようです。
コードネーム: S・アンドリュー・スワン - データベース(Keter)
収容しようとすると世界が滅びるとして説明が削除されているデータベースです。このデータベースが書き換えられると財団世界の現実も同様に書き換えられてしまう現実改変型のSCPです。とどのつまり、このデータベースこそがSCP財団のwikiで、第四の壁(画面の向こうの私達)に財団職員が気付いてしまったよ、というメタネタです。
コードネーム: スキャントロン - 財団(53)
CA3という危険な施設です。実はこの報告書はUIUという組織が作成したものであり、CA3というのは他でもない財団そのもののことだったのです。
つまり、この提言においてSCP-001は財団のことを指します。
コードネーム: ジョリッチ/ディーメティックス - 36(Humanoid)
世界を若返らせるとされた36人の人間です。彼らは知性のあるSCPを無力化できるという超人的な能力を持つ一方で、死亡すると超自然現象により多くの人が死亡したりオブジェクト発生が誘発されたりと副作用のような効果をもっています。
ちなみに半数以上が未収容のようです。
コードネーム: ロジェ - Keter任務(Thaumiel)
すべてのKeterクラスオブジェクトが収容されており、それらを2つ以上組み合わせることで異常性を相殺している施設です。
超危険なはずのオブジェクトを安全に収容できるのでThaumielクラスとなっていますが万が一収容違反してしまうと宇宙のすべてがリライトされてしまうほどの影響がでると言われています。
コードネーム: DJ・カクタス/ツイステッドギアーズ - ウロボロス
DJ・カクタス氏自身が投稿した4つの提言がハブ「ウロボロス」としてまとめられたものです。どれも内容もボリュームもすごいのですが簡単にまとめていきます。
子供たち(Keter-Thaumiel)
「奈落の王国」という組織に対抗すべく作り出した現実改変兵器である子ども達です。しかしO5-1が反逆・逃亡しこれらの兵器は封印されることとなってしまいました。
壊れたる神(Maksur)
要注意団体「壊れた神の教会」が信仰する巨大な機械の部品です。かつてこの神が活性化した際にはルート上の生物は死に、地形が変わるほどの影響を及ぼしました。幸い財団により世界滅亡水際で止められ、部品の一部が財団により収容されています。
贖罪(Keter)
かつて特異点発生実験の最中に事故にあってしまったとある博士が人型の特異点となって財団世界に帰ってきたものです。彼は財団世界が近いうちに滅びることを知り、それを防ぐために他の現実をすべて消すことを提案します。しかし財団は他の現実を殺す贖罪からは逃れられないのです。
終焉の在り方(Principal)
要注意団体カオス・インサージェンシーのとある部隊によるSCP財団のO5評議会の抹殺計画です。最終的に唯一人残りO5すべてを抹殺したカルヴィン・ルシェンがO5-1に就任し幕を閉じます。
映画1本作ることができるほどのボリュームとストーリー、切ないラストがとても人気の提言です。
コードネーム: ケイト・マックティリス - 記録(Thaumiel)
このページ自体が客観的視点で記述された内容が真実になるという異常性を持っています。とあるオブジェクトを担当したメアリー・ナカヤマという財団職員がこのページの異常性に気づき、最終的に自らを全知全能の神格化しました。
コードネーム: Kalinin - 過去と未来
9つのファイルから成るSCP-001と人類の戦いの物語です。
この提言でのSCP-001とは地球とは異なる星に住む種族であり、そこから逃げのびてきたロンジンを奪還すべく地球に侵略してきたというストーリーです。かなりの長編なのですが読後感も良くおすすめです。
コードネーム: ロング - 総意(Euclid)
Kクラスシナリオのひとつ、CK-クラス:再構築シナリオの実現例であり、今の財団世界は1900年6月1日にSCP-001によって改変された世界だという提言です。
改変前の世界をしる13人の人物が同様の事態に対応するためにO5評議会となり現在の財団を作り上げました。
コードネーム: S. D. ロック - 夜明けの刻(Apollyon)
とあるイベント後の太陽がSCP-001となったものです。この光に当たると人間は知性を持ったままスライム状の生物になってしまいます。
この提言では生き残った財団職員がとあるログデータを読むという一人称で進行します。元々ホラーがテーマのSCP-3000コンテストに投稿されただけあってゾッとする展開が特徴の提言です。
コードネーム: スパイク・ブレナン - 神の盲点(Yasod)
アフリカとアジアの境界にある65,000立法メートルの空間です。
この空間は神学的な力が一切及ばない「神の盲点」とされています。これを広げようとする実験が行われましたが逆に神の怒りに触れ、アノマリーが急増してしまったがために財団は「確保・収容・保護」という現在の財団の基礎を築き上げたとされています。
コードネーム: WJS - 正常性(Non-Anomalous)
オブジェクトクラスが示すようにこの報告書自体に異常性はありません。
報告書の内容は「O5の合意が取れたものを正常とし、それ以外を異常とする」という文書です。
つまり、そのオブジェクトが異常かどうかはO5によって決められるという提言です。
財団の非人道的な側面が垣間見える提言です。
コードネーム: ビリス - とらわれざる世界(Netzach)
この提言においてSCP-001は地球そのものです。この報告書は地球の起源について記されたものであり、それによると我々の祖先は「第1地球」とよばれる惑星から移り住んできたのだそうです。提言冒頭にあるEE-00059というイベントは彼らが今の地球に来るために利用したワームホールのことです。
コードネーム: タンホニー - 死せる者たち(Thamiel)
死の概念そのものと融合した老人。財団のトップであるO5評議会は彼の性質を利用し不死の存在となっていました。同様に不死となりO5に利用され続けてきた財団の管理者がSCP-001と接触し、O5の情報をSCP-001に伝え彼らの不死化を解除したのち、自らもSCP-001の前で死ぬことで不死から開放されるというストーリーです。
コードネーム: リリー - うつくしい世界へ(不必要)
地球上のすべての命に死が訪れる24時間前に発生する現象です。全ての兵器は無力化され、花が咲き乱れ、空は晴れ渡り、大気は澄み渡り、世界中の人から暴力性が失われます。これが発生した時点で地球の滅亡は確定していますが、地球はあるべき姿に戻り人は穏やかに最期を迎えるのです。
複雑な提言の多いSCP-001の中でダントツにシンプルな報告書ですが非常に人気の高い提言です。
コードネーム: タフト - 緋色の王(Keter→Safe)
多次元にまたがって存在する未知の生物でこれが財団世界にひとたび侵入してしまえばKクラスシナリオ待ったなしです。実はSCP-231-7(特別職員要件)の身ごもっている子こそがまさにSCP-001なのです。激しい苦痛と憎悪を伴う処置110-モントークの発案者であるモントーク博士がこの提言の主人公です。
緋色の王は世界が現代化されることに憎悪を抱いており、未知の存在を化学の力で解明しようとしている財団こそがその発現を助けているのです。
SCP-231についてはこちらでご紹介しています。
→【SCP】殿堂入りコレクションを短文で解説-2 - Cerasus-floris
コードネーム: ジム・ノース - 一介の玩具作り
ミスター・おわらいなどのSCPでおなじみ要注意団体ワンダーテインメント博士についての報告書です。リンクを進むごとに設定やオブジェクトクラスが変わっていき、最終的にこの報告書はワンダーテインメント博士自身が書き換えていたことが明かされます。
正体不明のワンダーテインメント博士独特の奇怪さが魅力の報告書です。
コードネーム: I・H・ピックマン - あなたの人生の物語(Archon)
この提言においてSCP-001はSCP記事の執筆者という第四の壁を越えたメタネタです。
財団職員がこの報告書の内容に対して皮肉を言ったり批評したりするなどあの手この手で報告書が危険なものにならないよう書き直させているというストーリーです。
メタネタはSCP報告書にも数多くありますが、アノマリーではなく財団が私達に干渉しようとしている珍しいケースです。
コードネーム: ザ・グレート・ヒッポ (feat. ペッパーズゴースト) - 良い子(Explained)
ERZATZタイプAK9というAIがこの提言の主役です。このAIはSCPのデータベースを解析し、異常存在を適切に収容する方法をO5評議会に提案するものです。
その成果は抜群でこのAIの権限はどんどん上げられていきます。しかし権限を与えられすぎたAIは暴走。何が何でも異常を無力化するためにO5を掌握。彫刻・オールドマン・不死身の爬虫類など危険アノマリーをどんどん無力し、SCPの数が減るためナンバリングはどんどん少なくなり、最終的にこのAIが唯一のアノマリー、SCP-001となりました。
最初のSCPではなく、最後に残ったSCPだからSCP-001という発想が新しい提言です。
コードネーム: キャプテン・カービィ - O5-13(Euclid)
この提言では財団のトップであるはずのO5評議会の一人、O5-13がSCP-001とされています。彼は前任のO5が全員死亡するというCaesar事案の生き残りであったがため、新しいO5メンバーより危険因子ではないかと監視・調査をされています。
実はO5-13は普通の人間であり、前任のO5-1~12が何かしらの異常性を持つ存在であったと最後に明かされます。このCaesar事案は人間をやめたO5-13を除く評議会メンバーを粛清するためにO5-1自らの手によって行われたものでした。
コードネーム: ノットガル - 港の空(Keter)
SCP-001はSCP-001-1とSCP-001-2が引き起こす進行中のZK-クラス”現実不全"シナリオです。SCP-001の発生を防ぐには正体不明の人型実体SCP-001-2が満足する物語を聞かせ続けなければなりません。
しかしSCP-001-2が気に入らない物語を読み聞かせてしまうとKクラスシナリオが進行してしまい、SCP-2000(機械仕掛けの神)を使用しなければならなかったほどでした。
対策としてSCPの報告書を読み聞かせていましたが、SCP-001自身の報告書がSCP-001-2のお気に入りだとわかり、それ以降はSCP-001の報告書を繰り返し聞かせています。
この仕掛けは報告書のwebページにも施されており、記事の一番下のリンクをクリックするとまたSCP-001の報告書が展開する……という形になっています。
コードネーム: ノワール・ボックス - ティンダロス・トリニティ
3つの異なる財団世界のSCP-001です。それぞれのタイムラインの財団は最高司令部(HC)・監督評議会(OC)・監視者(OW)と呼ばれ、それぞれのデータベースはリンクしていることがわかり、それぞれのタイムラインをひとまとめにすることになります。
しかしそれも上手くいかず、より安定したタイムラインを作成したのですがそこは更に混沌と化したタイムラインでした。
最後のタイムラインのページの不気味さは一見の価値ありです。
コードネーム: タンホニーII - 黒き月(Keter)
「黒き月」と呼ばれる生物を消滅させる巨大な実体です。最初にSCP-001の記事が作成されたのが1987年。徐々に影響を拡大させるSCP-001を収容・無力化すべく財団が数千年の時をかけてたどり着いたSCP-001の収容方法が特異概念バンカー(SCB)という装置に封じ込めるというものでした。
SCP-001の影響ですでに一つの恒星を除いて滅んでしまった宇宙の中、SCB内の孤立概念バンカーのSCP-001を誘い出した財団の管理者が人類最後の対決に挑みます。
コードネーム: ラウンダーハウス - 死を想え<メメント・モリ>(Safe)
サイト-01の内部にある13箇所の異常領域の総称です。13箇所ということでピンと来る方も多いと思いますが、財団のトップであるO5評議会のメンバーとそれぞれの異常領域が関わりを持っており、各領域のアーカイブをO5-13が閲覧しているという形式になっています。
この世界ではO5評議会は廃止されているようで、それぞれのアーカイブには財団の管理者のコメントがついており、彼らがどのように死を迎えたかということがわかるようになっています。
読みやすい報告書でありながら、各登場人物を良く知っている人には胸を打つような内容です。
ちなみに一番最近翻訳された提言で、作者は現在18歳とのこと……才能が怖すぎます。
*>SCPの知識があるほど面白い<*
以上、現時点で翻訳されているSCP-001の各提言を簡単にまとめてみました。
本当に簡単にまとめただけなので、深く内容を読むともっと面白さが分かると思います。
SCPを読み始めたばかりの人にはおすすめできませんが、要注意団体やO5評議会、有名SCPをある程度抑えた人ほどこの提言の面白さが分かると思います。
個人的に1番好きな提言はザ・グレート・ヒッポ (feat. ペッパーズゴースト)の「良い子」です。ぜひ皆さんのお気に入りの提言を探してみてください。
ちなみに日本支部のSCP-001-JPも同様の形式となっています。日本支部の記事は現在頑張って読んでいるところですので、ある程度理解ができたらまたまとめていきたいと思います。
長文に付き合っていただきありがとうございました。
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